柴犬チャーとアメショー共同生活

柴犬チャーと、アメリカンショートヘアしょう太の、気ままな日常をお伝えします。

救えなかった、小さな命

ハチワレねこのハッちゃん

 

ある朝、チョビママから電話が掛かってきた。

「道ばたで子猫を拾ったけど

ネコは飼ったことがないから、分からない。」と

子猫なら、飼ったことあるけど・・・

状況が、良く分からない。

 

取り合えず、チョビ家に行ってみた。

詳しく話を聞いてみると、

発見者はこのチョビ。

 

朝の散歩中に、ある物体を見つけたらしい。

始めは、何かが落ちているとしか思えなかったが、

よく見ると、まだへその緒が付いたままの子猫。

すぐに、タオルにくるんで、

動物病院へ駆け込んだそうだ。

 

ただならぬ雰囲気に、ウロウロしているチョビ。

病院で、へその緒の処理をして貰い

綺麗に拭いてくれたそうだが、

かなり、瀕死の状態だと言われてしまったらしい。

???

本人を見た瞬間、それは素人にも分かる状態だった。

この状況で、帰されたのか?

結局、病院でも家でも出来ることは一緒らしい。

それに、24時間体制になるし、

それなりの体制がない病院では、

逆に預かれないようだった。

 

最後に、

「落ち込まないで。

助けられる方が奇跡に近いから。。。」

と念押しされたらしい。

子猫と言っても、生後数時間

母親もいない状況。

助けられるの?

 

頭の中で、昔飼っていたネコの出産シーンが甦る。

母親が、嘗めて綺麗にして、

おっぱいを飲ませて、排出の手助けをする。

で、、、母親どこよ?

 

先生の説明によると、野良猫の場合、出産後すぐに

その子の生命力が分かるらしい。

何かの欠陥があったり、この子は育てられないと判断すると

その場に捨てて行ってしまう。

なので、母親を見つけたところで

もう、この子を自分の子として

育てる意思がないので無駄だそうだ。

自然の世界では決して珍しくない話だと。。。

確かに、飼い猫の出産シーンにしか

立ち会ったことはないが

家にいれば、温かいし、自分は疲れて動けなくても

飼い主がいれば、寝床まで

水や食べ物を、運んできてくれる。

けれど、外の世界ではきっと

母親自身が生きていくのに

精一杯だったのだろう。

 

きっと断腸の思いで捨てざるえなかった。

そう思うと、母親を責める気にもなれない。

 

やれるだけやってみよう

仕事に行かねばならない、チョビママに変わり

我が家へ運び、病院から貰ってきたミルクを

スポイトで、1時間おきに与えてみる。

排出もお手伝いしていると

こんな小さい子の体温が、ひしひしと伝わってくる。

 

ミルクをあげると、フミフミして更に催促。

この子が生きたい!!と言っている。

何故か、そう思った。

体温を奪われないよう、

何度もタオルの下の、毛布にくるんでも

この子は這いずって出てきて、母親を探している。

何とか母親代わりにならなきゃ。

 

チョビママは、ハチワレねこだから

ハッちゃん

勝手に名前を付けていたので、

その名前で一応呼んでいた。

 

2日間、昼夜問わずこの生活が続いた。

チョビママは、お客様のつてを最大限使用し

何と、里親さんまで決まっていた。。。

 

ママもよく知っている人物で、信頼できる方だ!!

ただし都内にお住まいなので、

生後4ヶ月くらいまで行かないと、移動も難しそうだ。

こうなったら、何が何でも

里親さんに手渡すまで頑張らにゃ!と

意気込んだのだが・・・

ミルクが、入りにくくなってきた。

直感でまずいと思い、ショー太の通っている病院に

すぐ連れて行った。

ここまでの経緯を簡単に説明したが、

申し訳なさそうに

「無理ですよ・・・」

チョビママの先生と、全く同じ事を言われてしまった。

さらに、一度も母乳を貰えていなかった子は

殆どが長く生きられないそうだ。

 

泣き崩れてしまったママに、先生は

「プロが最初から見てても、殆ど助からないんだから

抱え込まないで。」と言われたけど、

それは、無理だった・・・

 

病院に連れて行って間もなく、

小さい命はこの世を去ってしまった。

生後たった3日

猫は目が開くまで、2週間。

ハッちゃんは、世界を見ることもないまま、行ってしまった。

一度も母親に甘えることもなく、

母乳にもありつけなかったこの子は

何のために生まれてきたんだろう。

 

5年経った今でも、この子を思い出すと

後悔でいっぱいになる。

無理を押し通してでも、最初から病院で見てて貰えば

今、まだこの世にいたんじゃないか。

他の方に拾われていたら

助かっていたんじゃないか・・・

 

翌日、チョビママと一緒にペットのお墓に向かう。

チャーの大好きなショー先輩も、ここに入っている。

2匹とも、飼い主の様子から

何かを感じ取っているようだった。

チャーに至っては、小さな命をひっそりと見守っていたから

何が起きたのか、分かっていたのだろう。

とても、淋しそうな顔をしていた。

助けてあげれなくてゴメンね。

 

里親さんには、ママから謝罪させて頂いた。

我家と一緒で、もう既に2匹飼っているので

何処にも行く所がないのなら、

面倒を見ると言ってくれていたが

やはり、先住ネコとの折り合いもあるから

本音は不安だったそうだ。

 

いや、逆に誰も引き取り手がいなければ

家でもいいと思っていたのだが

意外だったのがショー太

犬としか暮らした事がなかったからか

あんなに小さなネコに対して威嚇しまくっていた。

 

ダンボールから一歩も出れない状態なのに

怒るなよ。。。と思うけれど。

 

と言うか・・・

母親役は、自分にしか出来ないとしても

父親役くらいしてくれ!!

何度も言いたくなった。。。

 

オスだから、おっぱいは出ないとしても

せめてこのお腹で、フミフミさせてあげたかった。

それに、ショー太が嘗めてあげたり、

隣で温めてくれていたら

ハッちゃんはもっと、幸せな時間を過ごせたと思う。

 

しかし残念ながら、

育メンにはなれなかった・・・

一度も捨てられた経験がない、ショー太には

思いやりとか、優しさに掛けている気がする。

 

今まで、野良猫しか飼って来なかったが、

一度でも辛い経験をした子は、痛みを知っている分

周りに対しても、優しかったりするが、、、

 

チャーが虫に刺されたときには

エリザベスカラーの柴犬を、

遊び道具にしていたし・・・

 

幸せいっぱいで、生きてきたこの子には

分からないので、仕方ないのだけれど。

たった、3日間しか一緒にいれなかったけど

ハッちゃんから学んだことがある。

 

生きたくても、生きれなかった子達の為にも

今、目の前にある命と、真剣に向き合い

精一杯、可愛がってあげること。

限られた時間の中で、共に幸せに過ごしていくこと。

それが、ハッちゃんへの最大の弔いになると信じている。

 

    2018年7月25日